問題32 認知症について適切なものはどれか。2つ選べ。
1:BPSD(認知症の行動・心理症状)は、住環境などの環境因子の影響は受けない。
2:若年性認知症は、うつ病など、他の精神疾患と疑われることがある。
3:前頭側頭認知症では、リアルな幻視やパーキンソニズムが特徴である。
4:パーソン・センタード・ケアは、介護者本位で効率よく行うケアである。
5:介護支援専門員が、利用者本人の同意を得て、心身の変化などを主治医に伝えることは、よりよい医療につながる。
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解答:2・5
解説
認知症とは、
一般的に慢性あるいは進行性の脳の器質的障害による疾患によって生じ、記憶力、見当識、
思考力、判断力などが低下するものをいいます。
ほぼ毎年出題されている頻出項目で
それぞれの症状や治療法、認知症ケアや支援についても問われています。
今回は、選択肢ごとに整理しながら見ていきましょう。
1×
BPSD (行動・心理症状)は、住環境などの環境因子の影響を受けます。
認知症の症状には、大きく分けて【2】種類あり、
1:「中核症状」/
記憶、見当識、遂行機能、失行、失認、失語
2:「BPSD(行動・心理症状)」/
徘徊、暴言、暴力、焦燥、幻覚、不安、抑うつ
などがあります。
他にもBPSDの誘因として、
住環境などの環境因子
薬剤
せん妄
体調
ケア技術・関係性
不安・心配ごと などが挙げられます。
中核症状は、
認知症の全て方に出現する症状ですが、
BPSDは
環境調整や適切な医療・ケアよって出現しない場合があります。
2○
若年性認知症とは、
65歳未満での認知症の発症で、
比較的進行が早いのが特徴です。
若年性認知症に限らず、
高齢者のうつ病は認知症と間違われることが多く
「うつ病だと思っていたら認知症だった」 と間違った判断を招き、
早期発見の治療の機会を逃してしまうケースも少なくありません。
うつ病の症状の特徴/
見当識が保たれている
新しい物事を覚える「記銘力」の低下
見当識とは、
見当がつかない状態
「今がいつか(時間)、ここがどこか(場所)」 が
わからなくなる状態です。
認知症の症特徴/
物事の記憶そのものが丸ごと抜け落ちてしまう
記憶障害や見当識障害がみられる
3×
前頭側頭型認知症は、
前頭葉や側頭葉が萎縮して起こる認知症です。
前頭葉が萎縮するタイプは独特の
行動障害(易怒性など)が特徴です。
側頭葉が萎縮するタイプは、
物の名前が出てこないことが特徴です。
設問にあるリアルな幻視やパーキン病のような症状が特徴なのは、
レビー小体型認知症 です。
認知症には種類があります。
【1】アルツハイマー型認知症
>一番多い認知症
>脳全体が萎縮
>穏やかに進行
>女性に多い
>記憶障害・見当識障害・実行機能障害
【2】血管性認知症
>脳梗塞、脳出血等が原因
>感情失禁、意欲の低下、うつ症状、パーキンソン症状、構音障害
>症状に波がある(まだら認知症)
>階段を下るように進行する
>男性に多い
>予防することができ、減少傾向
【3】レビー小体型認知症
>初期には認知機能の低下が目立たない、うつ病とまちがわれる
>パーキンソ症状みられ、転倒しやすい
>自律神経症状がみられる
(起立性低血圧、便秘、失神など)
>リアルな幻視がみられる
【4】前頭側頭型認知症
>指定難病に認定されている
>頭葉が萎縮する/独特の行動障害(脱抑制、易怒性など)
>側頭葉が萎縮/物の名前が出てこない
>性格変化と行動異常
>ピック病と呼ばれる
四大認知症と言われ、
特徴など入れ替えて出題されることが多いので
ポイントをおさえておくといいですね。
4×
パーソン・センタード・ケアとは、
認知症をもつ人を一人の「人」として尊重し、
その人の立場に立って考えてケアを行おうとする
認知症ケアの一つの考え方です。
5○
介護支援専門員が、利用者本人の同意を得て、
心身の変化などを主治医に伝えることは、よりよい医療につながります。
普段の様子や変化といった情報を主治医に伝えることにより、
より適切な治療や対処に結びつけることができます。
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